1月25日(1985年)

山崎省三様
　今回の新連載、こんなチャンスをいただきながら、御迷惑をお掛けしていて 申訳ありません。
　1月のニューヨークは、ひどい風邪がはやっていて、直撃を受け、酒をのんでなおるというものではありませんでした。1月こそはと思っていたのに たるんだ原稿となってしまいすみません。二月、——　もう2月ですが、は「音」の事も書かなければならないので、ジャズのこと 書こうと思っています。
　実は 一つお願いがあるのですが、——　女房からいわれていたのですが、昨年夏頃から、小説新潮が来ないけれども 送って戴けないだろうかといわれていました。もう、そんな、わがまゝいえる状態では、ありませんので、無理でしたら 無論結構です。どうも、毎月楽しみにしていたようで、もし、御迷惑をお掛けしないで送っていたゞけるものでしたら、よろしくお願いいたします。
　新連載、なんとしても面白いものにしたいと思っていますが、なかなか心の余裕が出来ません。どうも、普通のスコッチあたりでは心が燃えなくなって来て、これは もう、アル中気味では?——「アルコール」の事も書きます。——　などゝ思いながら——、頑張りますから、よろしくお願いいたします。
　今日の便で 300字ばかり書きたしたのですが、先便でお送りいたしました終りかたがいやで、(出始めとのつじつまもあいませんし) 出来れば中間を切っても入るものなら、今日の便の分 書きたせたらと思っております。
近藤竜男
乱筆お許し下さい。