Feb 20 1975

1975.2.20

山崎省三様
 ホイットニーのビエンナーレは 又、極端に内容が変ったもので、その つまらなさも、今までゞ最低の様に思います。
 アメリカン アーティストと言ふことに限定し、ニューヨークで発表した作家を省くと、これほどまでにつまらなくなるものかと、驚きますが、あるいは、キューレター達の作家捜しが徹底していないからかも知れません。ニューヨークにももう少しましな作家が居ると思いますが、——
 ローシェンバークは、昨年末、3つの画廊を使って新作の大個展を開きましたが、ビエンナーレ展のつまらなさなどから、又僕自身の事をもかえり見て、彼のようにある線から、作品の質を落さずに息長く生きる作家について、もう一度、ふりかえって考へる気が起りますし、ふりかえさせるだけの力をもっている作家なのでしょう。
 ニューヨークの画廊は、ヨーロッパ系の作家の活躍も目立ちますので、ホイットニーなどは、より、コンサーバティブに、ナショナリスティックにとなるのかも知れません。
 メトロポリタンの色々なセクションを通り抜けてから、桃山展の会場へ入った感じが、あまりに静かなのに驚きました。とは言え、桃山については、さほどの知識もありませんので、あまり、あてにならない感想です。
 芸新に載っているエルンスト展の記事、展覧会が開かれるより、ずっと早く出ているので ニューヨークで どうしたんだ?と聞かれました。最初の予定より期日が大幅に遅れましたので、多分、古い資料かなにかで記載された事と思いますが、ちょっと具合が悪いので 来月 一応エルンストの原稿お送りして見ます。
 ソトの展覧会の記事が、グッゲンハイムでの展示内容と少々違っている点などを、両方とも 僕が書いたと思ってケチをつける奴がいます。ニューヨークも日本人がすっかり、多くなって、村みたいな小うるささが、少々気にさわります。だいたい僕の原稿がいつも遅れる事もまずいけないのですが、——
 エルンスト展は、2月の14日から、4月の20日までゞす。
 今、流さんがニューヨークです。来週お会する予定です。
 サンフランシスコの個展は、24日からですが、遠いので行きません。アナウンスメント、今手元に少しゝかありませんので 2枚だけ同封いたします。
近藤竜男

手紙, Feb 20 1975, 1975.2.20手紙, Feb 20 1975, 1975.2.20手紙, Feb 20 1975, 1975.2.20
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