Nov 27 1974

1974.11.27

山崎省三様
 こゝのところ 次から次の日本人作家の作品発表に いさゝか驚ろかされました。半分は偶然、半分は、この変で一つ・・・と言ふ事なのでしょう。
 なるべくなら、ほめ言葉で迎えたいことなのですが、それらの「発表」が、ニューヨークのレベルを抜き出て注目されるとか、こちらがドキリとするようなものが見あたらないのが残念です。(荒川さんの画廊での個展の方は、良かったのですが)
 契約画廊での作品発表は デコラティーブな仕上が目立ちますし、他のものはいさゝか惰性的な傾向が感じられます。
 もっとも これは ニューヨーク全体について言えることなのかも知れませんが。ミユジアムでも個展でも、それこそ原稿を書いて皆に知らせたいと言ふ気持を起させるようなものが ほとんど見あたりません。
 ソトにしても なぜ、グッゲンハイムがソトをやらなければならないのかなと言った気がして来ます。
 ニューヨークのスタジオ どうにか落着き 制作に入りはじめました。あっと言ふまに暮が近付いてしまい、昨夜は雪が降りました。
 一つお願いですが、前、ニューヨークへ送っていたゞいていて堀の内の家の方へ切替った 芸新、週刊新潮、小説新潮、もし、前と同じようにニューヨークへ送っていたゞけるものでしたら 大変有難いのですが、—— かってなお願い事で誠に申し訳ありませんが、もし出来ますことでしたら よろしくお願い申し上げます。
近藤

手紙, Nov 27 1974, 1974.11.27
Tatsuo Kondo CV
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