Sep 26. 1975.
1975.9.26
山崎省三様
先日は お手紙有難うございました。新都美術館にかわる美術界の反応の腰抜けぶりが手にとるようで、大変 興味深く拝読いたしました。”アーティスト ユニオン”の新聞で「新しい都美術館を見る借館交渉メンバー」と銘打って、吉村一派の嬉しそうに館内を見渡す写眞を見て、彼らも、やってる、やってる、と言った感じでした。
アーティスト ユニオンに関しては、一度ゆっくり言いたい事もありますが 僕から見れば 錯誤的にしか見えません。しょせんは、公募展とさして変らない組織への道を たどる様に思われますし、もし、そうだとすれば、「60年代」あるいは「読売アンパン」を絆とする姿勢は、諸公募団体の発足当時のありかたより以上に、後向きの姿勢の様に思えます。
しかし、それが なんとなく 大手を振って通ると言ふ時代感覚、とやかく言ふ こちらが水臭く感じられると言ふ、何時の間にか、すべてが すり替って行く 時の流れに恐ろしさを感じます。
もっとも、考へて見れば 僕が読売アンパンに参加したのは あくまで個人としてであり、彼らが最初から何時も徒党を組んでいた様に思へます。吉村君は、「ニューヨークの奴は つめてえー」と言っているそうですが、ニューヨークへ来た 多くの人の出発の動機からすれば しかたのない事です(ニューヨークはアンパン出の作家や、ネオダダの息のかゝった作家が多いのですが)。
まあ、僕は これから当分、ますます、孤立してしまふ道をたどる事になりそうです。
ニューヨーク、シーズン オープンですが あいかわらずこれと言ったものもありません。ついに僕のスタジオの前も「バー、レストラン、アンド ギャラリー」と言ふのが出来る様で、土日の週末にSohoの画廊廻りに押し掛ける人波のすごさだけは、たゞごとではありません。
ナーデルマンの展覧会 別にどうと言ふ事はありませんが、アメリカは、移民の国なのだな と言ふ事をあらためて感じさせられます。近代美術館の「マネからマチスまで」展の様に たゞ外国からかりて来て並べるだけの展覧会よりは、かけら程でも見処があります。
ニューヨークは こゝ3日雨が降りつゞいています。めずらしい事です。
近藤竜男
ベン ヘラー、29日、月曜に連絡して見ます。



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