Apr. 21. 73.
1973.4.21
山崎省三様
お手紙するのが大変遅くなってしまいました失礼 お許し下さいませ。
4月の始め、志水さん、ニューヨークにお見えになり忙がしいスケジュールの中を スタジオへおより下さいました。一番新しい作品3点が出来上らず、お見せ出来なかったのが残念でしたが、新作5点ばかりとともに作品を見ていたゞきました。個展は、2月末から3月始めときまりました。色々と 御力添下さいましたこと、心から、感謝いたしております。本当に有難うございました。
10月の加納さんの前か後、あるいは、12月の始めでもともおっしゃいましたが、10月は、やはり、十分な準備が出来るかどうか、少々 不安な事と 前後の展覧会の間隔があまりにタイツになり過ぎますので、思いきってやめました。12月始めは、志水さん自身がキュービズム展の後始末で忙がしく、あるいは十分なテイクケアーをしてあげられないかも知れないとの事です。1月が音楽のために会場を開放するそうで、2月が陶器の人の個展、その後の2月末から3月始めと言ふ期間が一番落着いて展覧会が出来るように僕には思へました。
旧作を並べるか、新作だけでやるが、展示作品の決定に対しては自分で思ふようにやって見たら、とおっしゃって下さいました。たゞ今までの過程を見せる意味で 中西さんの場合のように、旧作を交えた方が見る人に親切だろうとの事です。僕もそのような意見ですので 67年にサトウ画廊で発表しましたキャンバスにオブジェの吊ってある作品。対角線の作品。それに新作とし、(平面の作品だけとし)66-68頃に作った彫刻作品(天井から吊る作品)は はぶいた方が良いと思っております。
新作はニューヨークからは送らず、この作品の発展として東京で制作するつもりでおります。
昨日、京都の近代美術館の小倉さんより、お手紙をいたゞき、「アメリカの日本人作家展」のために ニューヨークへ5月8日にお見えになるとの事、この展覧会が今秋とのことですので、運良く選出して下されば、ニューヨークでの作品が日本で個展前に発表出来ることになり、大変 タイミングが良いのですが、—— この展覧会に出品出来る事を願っています。
ピカソが死んで遺産相続の事で色々もめるのではないかと思っているのですが、もし今後そのような記事が出ましたらお送りして見ます。
日本へ歸っているあいだ、ニューヨークのスタジオを貸す人をさがしていたのですが、昨日やっときまり、ほっとしたところです。そのかわり、早く入居したいとの事で 歸國前は友人の所で居候をする事になりそうです。
では、又御手紙いたします。近々、皆様にお目に掛れる事を楽しみにしております。
まずは御礼まで。敬具
近藤竜男