九月二十九日

1971.9.29

山崎省三様
 土曜日 二十五日に ダウンタウンのギャラリーオープニングがあり、大変なにぎやかさでした。
 特にウエストブロードウェイ、四百二十番地へ、新らしく開かれた四ツのギャラリー、レオ キャステリー、アンドレ エミリック、ソナベンド、ジョン ウェバー、(ドワン ギャラリーがクローズして、そこのディレクターが独立して、始めた画廊)が一緒のビルディングは注目の的で 時ならぬ、人出に消防署がかけつけるほどでした。
 この日は、アップタウンとダウンタウンのギャラリーを同時に見てみましたが、これら四つの画廊がダウンタウンへオープンした事によって、ギャラリー街の主力は、ダウンタウンへ移ったと言っても良いかも知れません。アップタウンのギャラリーはガラガラです。
 フライに会ったり、ハンス ハーケに会ったりして、話を聞き、先シーズン ダウンタウンへオープンしたギャラリーともインタビューしました。ギャラリー、ミユジアムは 直接聞いても、本当の事を言いませんのでむしろ、ハーケや、フライの話の方が面白く思いました。クリストは、コロラドでバリーカーテンを制作中、コロラドから電話をくれ、びっくりしました。
 画廊街の移転、ミユジアムの問題(かなり政治がからみます。今度のロックフェラー知事のアティカ暴動に対する処置は、アーティスト関係者をもおこらせ、ミユジアム オブ モダンアートのストライキグループと、A.W.C.のグループがアゲインスト ロックフェラーの運動を始めました)。等がびみょうにからみあいますので、あれやこれやと、書く事はありますが、やゝ、経済から、はずれそうですし、そうかと言って、ミユジアムの政治問題と経済問題は切りはなせないし、どのようにまとめれば良いかと、困っています。明日中には、書き上げたいところですが 明後日になるかも知れません。三日は日曜だから、四日で良いだろうと、かってに考へていますが、—— 一日ぐらいおくれるかも知れませんが 原稿は出来しだいお送りいたします。写眞も、とりました。(ダウンタウンを中心に)
 どれをはぶいて良いかまよいますので一応思いつくまゝに書きつらねて見ます。十枚をだいぶこす事もあるかも知れませんが、日本で見て興味が持てるところを、お使いになって下さいませ。
 まずは、お傳へまで。
九月二十九日
近藤

手紙, 九月二十九日, 1971.9.29手紙, 九月二十九日, 1971.9.29
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