一月二十一日

1971.1.21

山崎省三様
 お手紙有難うございました。
 グッゲンハイムの、現代日本美術展の件、さっそく、書いて見る事にいたします。どうも有難うございました。良い文を書くよう努力いたします。
 実は、この二十三日が引越で——うちのがお話ししたかと思いますが 川島さんたちと五人でダウンタウンのビルを買う事になり、今月中にすっかり そちらの方へ移ることになっております。ニューヨークの生活も十年近くなりますと 絵や、ガラクタも、驚ろく程にたまり、引越準備でキリキリ舞をしております。
 又東京画廊の山本さんが ニューヨークへ見え、金曜日には、フライと一緒に会う事になっておりますが、その時に改らためて、グッゲンハイムの展覧会についても フライに聞いて見るつもりです。
 そんな關係で今週中は、どうにも動きがとれないスケジュールになってしまい 土曜の、引越が一応すみましてから、原稿を書き始める事になります。三十一日までに着きますよう頑張りますが、もし一日ぐらい遅れることがございましても必らずお送りいたしますから——(火曜―水曜には発送出来ると思います)よろしく、お願いいたします。
 先日、毎日現代美術展より出品招待があり、大変嬉しく、思いました。三点まで出品出来るとの事、力作を作るべく思案中です。又、山本さんのお話では、東京画廊で、毎日展と、時を同じくして、日本現代美術の大きな、グループショーを、開くそうで ニューヨークからは、僕に出品してもらいたいとのお話で これも びっくりしました。百二十号ぐらいのが二点出品出来るそうです。同じ時期に東京で五点ほどの大作が発表出来る事になりましたので、四月~五月のその時期にちょっと、歸りたいなと思っております。
 実は、この前、南画廊の志水さんへ、年賀状を出しました折、「何時と言ふ事では無く、もし、志水さんが僕の作品に関心を持たれる事がありましたら、その時点でいつか、作品を発表させていたゞければ大変、幸だ」と言った主旨のことを、書きました。画廊へ、お願いの手紙を書いたのははじめてでしたが、志水さんからは今のところ、返事がなく、東京画廊から展覧会の話があるとは、少々、皮肉でした。
 もう、僕には、正確に東京の動きと言ふのはつかめませんので、どう判断して良いのか、わかりませんでしたが、出品メンバーにも大変、興味がありましたので 出品させていたゞく事にいたしました。
 今年は始めから、色々な事が起りますので それを 良い方向へ、もって行くべく、努力いたす、つもりです。
一月二十一日
近藤竜男
新しい住所は、Tatsuo Kondo, 135 Wooster St. New York, New York U.S.A. です、2月1日より。

手紙, 一月二十一日, 1971.1.21手紙, 一月二十一日, 1971.1.21
Tatsuo Kondo CV
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