11月17日(1967年)

1967.11.17

山崎様
 とりあえづ ピカソのカラースライドお送りいたします。手持ちで写しましたので のばして見ると、やはり、あまいようです。2、3、は使えるのがあるようにも思いますが。暗いので 絞りを開いているため、焦点深度が浅く、三脚を使った時のように会場全体にピントを合すわけに行きませんでした。作品がかたまって、展示されていないため、鳥瞰的写眞を、取るのは、ちょっと無理でした。
 首の作品 フィルム ナンバー6、7、8と10[ スケッチ ]が 作られた一部屋に展示されており、圧巻です。他は12、9、など やっと、三点入るていどで、これも手前はピントがぼけてます。入口、正面にある、立像(10、11)[ スケッチ ]は、ミユジアムでも代表的作品として扱って、いるようで、首の部屋と同じく この展覧会の中心的存在です。これの写眞は使えるように思います。新館入口の写眞、2、3、4、及び7[ スケッチ ]は、アメリカの会場の觀客がいかに女が多く色が多彩であるかと言ふ意味で 婦人雑誌などなら良いかも知れませんが、作品があまり写っていないので 芸新には、無理ですね。4がピントも良いようなので、こんな具合にでもトリミング[ スケッチ ]すれば 使えるのではないかと思います。——ピカソの、驚ろくほどの、しゃれたうまさが出ている、作品です。紙の作品、1、11、あまり うまく行きませんでした。9、10、11、12、も紙に着色した作品、9、10、は使えますか? カラーにするほどの作品では、ないかも知れませんが、会場の中で、カラフルな作品の一つです。彫刻家ピカソでなく、絵画ピカソの作った作品と言えるでしょう。その他、セラミックや、Small Sculptures等を取りました。オブジェは、みなガラスのウインドーに入っており、ガラスに写った觀客や、ライトが あまり強すぎますのであきらめました。作品どうし、の間隔を十分にとって贅沢に展示してありますので、写眞を取るのには、誠に工合が悪いのです。この写眞を、とった後、お手紙、いたゞきましたので、35mmでもう一度、とって見ました。あるいは、こちらの方が、カメラが、かるいので、ブレていないかも知れません。明日、白黒と、35mmカラー、お送り出来ると思います。
 では又 明日、書きます。敬具
近藤竜男
6のオブジェは、ガラスの中のライトが強いのでなんとかとれました。

手紙, 11月17日(1967年), 1967.11.17手紙, 11月17日(1967年), 1967.11.17手紙, 11月17日(1967年), 1967.11.17
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