4月2日(1964年)
1964.4.2
山崎省三様
先日は、御手紙有難うございました。ニューヨークも暖かくなったと同時に今年はワールドフェアーのオープンとあって、なんとなく活気づいている感じです。きえかゝったポップアートも、いがいに息が長く、ジャニス ギャラリーのオルテンバーグ、グリーン ギャラリーのセガール、ステイブル ギャラリーのマリソル・エスコバル、ウァーホール等が目立つところです。うれると言ふ事がなかなかくせものらしく、今度のウァーホールの展覧会は、ダンボールの箱(スーパーマーケットの前につんである箱のような)と、そっくりなものを木でつくってあり、レッテルをシルクスクリーンで印刷してあります。まったく同じ箱を50個ぐらいつみ上げてあり、4種類ぐらいの違った箱があります。ようするに4、5種類の箱が、150個か200個ぐらい積んだり並べたりしてあるわけで、それが一個250ドルでヂャンヂャン賣れるのだそうです。あまり賣れて、ギャラリーから箱を買った人がどんどんはこび出すので、展覧会が終ったのとまちがえたと、うそか本当かそんな話まで聞きましたが、僕が行った時は本当にそのバカみたいな箱を、ビニールの手袋をはめて、だいじそうに5、6個、キャディラックにつみこんでいる所でした。
ワールドフェアーで人がジャンジャン ニューヨークへ来るので 有名で安いポップアートは、あんがいかせぎ時なのかも知れません。この夏は、ギャラリーもクロッスせづにづっと開くのだそうです。
写眞、トルコフの展覧会と新しいミユジアムのを送ります。ミユジアムの方は、オープンの事とチェレチャーフの展覧会の事をわけて書いても良いのですが、もう、終ってしまったので一緒にしました。グッゲンハイムではゴッホ展をやっているので今度御送りします。
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