1月16日(1964年)

山崎省三様
　御手紙有難うございました。13日、レコード御送りいたしましたので、この手紙と同じ頃着く事と思います。ケースははづしても箱を作らねばならぬので同じ事故、そのまゝ御送りいたしました。
　3ドル84セントが3枚にタックス46セントで、11ドル98セント。それに、送料4ドル70セント、合計16ドル68セントです。
　費用は、今までどうり東京の私宅へ御送りいたゞければ幸です。
　秋頃あるいはニューヨークへいらっしゃれるかも知れぬとの事、お会出来る日を楽しみにしております。
　“青”の事。僕の青はあるいは大変パーソナルな物とむすびつくのかも知れません。山崎さんの青のお話し、大変面白く思いました。お会いした時、ゆっくり御話ししたいと思います。
　今日、個展前ですがアートニュースの僕の個展評が出来ました(一ヶ月前に作品を見て、取り上げる展覧会の評は、展覧会前に出来るようです)。別にとりとめもない事が書いてありますが、取り上げてくれた事。わりと良い評を長めに書いてくれた事は、まあ最初の個展としては良く書いてくれた方なのでしょう。
　後一ヶ月もないので、なにかと気持が落着きません。今日、ホイットニーの展覧会(秀作展のようなもの)の写眞を取って来ました。現像出来しだい御送りいたします。日本人では岡田さん一人でした(もっともアメリカのシチズンを持っていないと資格が無いようです)。展覧会の性格が無いだけに、四、五人の作家をのぞいては大変つまらない展覧会でした。たゞ出品作家の数によって、ギャラリーの勢力のようなものがわかり、その点では面白く思いました。
　では、又、御手紙いたします。
近藤竜男