5月28日(1966年)

1966.5.28

山崎省三様
 電報受取りました。どうも大変申訳ないのですが 思ふように時間が取れません。
 月曜日に搬入する展覧会が2つあり(ロングアイランド ユニバースィティー、シルバーマイン) 今夜は東京ギャラリーの山本さんがスタジオに見える事になっています。電報いたゞいた日は野口イサムさんがヨーロッパへ立つ前の日で(来年、近代美術館で野口さんの大きな展覧会があるそうで イタリアへ行って大きな彫刻を作って来るそうです。) スタジオで手伝う約束をしており行けづ、今日 僕の作品を仕上げてから、かけつけたのですが、あわてゝハイスピードのフィルムをわすれてしまい、町までもどったのですがみつからづ、クローズの20分ほど前から仕方なく普通のエクタクロームでとりました。この部屋は、クロイスターの中でももっとも暗い部屋で 2/3は人工光線、しかもかなり赤味のある光です。雨で暗い上に、フィルムがタイプBではないと言ふ最悪の條件の上、時間がなく、おゝあわてでとったので、2重写しや色々の失敗が多く、使えるフィルムがないのではないかと思っています(白黒をとる時間がありませんでした。) 土、日曜は三脚が使えないし(今日はたのんで使わしてもらったのですが、明日はダメとの事) 月曜は休みです。今度の日曜はメモリアルデーで土日月と連休のため、店がみな休みで カラーの現像も火曜にならないとたのめませんので フィルムのまゝそちらへお送りいたします。どうせ少ない時間なら より確実な黒白でとれば良かったと後で思ったのですが、——
 どうも思うように行かづ、大変ごめいわくをかけてしまふのではないかと心配しております。
 今の僕のアルバイトが朝から3時半までですので、5時に閉まるクロイスターには1時間かゝりますので、チョットと言ふわけに行かづ、休みの日以外はちょっと時間が無理になってしまふのです。火曜日か水曜に出来るだけ時間をとって見ますが、もし出来なければお許し下さいませ。
 新妻実君が 絵の人との二人展をハワード ワイズ ギャラリーで開いています。ジューシ ミユジアムの彫刻展——これはあるいは大変大切な意味をもつ展覧会かも知れませんがまだ見ていません。ポップ—— オプ——の次へのうつり変りの過程を反映しているようです。ゆきしだい原稿としてお送りいたします。
 クロイスター うまくゆきませんでしたらお許し下さいませ。地理的にちょっと時間のかゝるところは チョットと言ふわけに行きませんので、ウィークエンドに行く事になります。それで少し早目にご連絡下されば、スケジュールがくめるのですが、・・・ どうも本とうにすみません。フィルム同封いたします。では又お手紙いたします。
近藤竜男

手紙, 5月28日(1966年), 1966.5.28手紙, 5月28日(1966年), 1966.5.28手紙, 5月28日(1966年), 1966.5.28
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