1月15日(1967年)
1967.1.15
山崎省三様
少々遅くなりましたが、新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。今年のニューヨークは末から新年にかけて雪が降った程度で 大変暖かい日が續きます。
今日、とりあえづホイットニー美術館の Annual Exhibitionの原稿をお送りいたします。
美術館と言ふのは面白いもので、ポップアートにはグッゲンハイムが積極的で ミユジアム モダンアートは最初、背を向けたし ホイットニーは 1962年と4年のあるいは3年と5年の Annual Exhibitionにも最小限のポップアートしか展示しなかったように思います。オプティカル アートはミユジアム モダンアートが主体になって始めたようなものですが、グッゲンハイムもホイットニーも完全にそっぽをむいたまゝ。
今度のプライマリー ストラクチュアー(これらをミニイマル アート、Minimal Artと呼ぶようになるらしいですが)は、ホイットニーがなかなか積極的です。グッゲンハイムは絵の方で、システィミック ペインティングをやりました。ミユジアム モダンアートがこの方向にどんな姿勢を取るかな? と興味があります。
ホイットニー美術館の秀作展
年末から新年にかけて毎年ニューヨークのホイットニー ミユジアムで開かれるAnnual Exhibitionは、絵画と彫刻が一年おきに開かれる秀作美術展と言ったものであるが、今年は12月の16日より2月の5日まで彫刻とプリントの年。新館4階の廣々とした会場には、單純で巨大な大作の数々が目を見張らせる。ジューシ ミユジアムで開かれたプライマリー ストラクチューアー展を始めとして ニューヨークにおける今シーズンのもっとも中心的な動きと目されるこれらの傾向は、底抜けの明快さ、作品に作家を出来るだけ介入させまいとする姿勢からか、無意味或いは非個性的であろうとする方向が目立つようである。單純でその巨大な物体は、カラッとしたすがすがしさとでも言えるような魅力を感じさせる。ドナルド ジャッド、ロバート モリス、ロナルド ブレイドンなどのこれらの新人群から、トローバー、シーゲル、チェンバレン、ヒギンズ、イサム ノグチ、カルーダー等、日本人作家としては、新妻実も出品しているが、アメリカの現代彫刻がいかに多彩であるかと言ふ事をあらためて感じさせる。
芸術新潮いつも有難うございます。ブルックリンの方(古い住所)へ行ってしまいますので 誠におそれ入りますが 9E 32 St.の方へ送って下さいませ。お願いいたします。



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