作品
Artistic Periods
新しいスタート
1964年-1966年
近藤はニューヨーク日本橋画廊の展覧会から半年後の1964年9月1日の手紙に記す、僕も大変作品が変りました。本来作品の変る事を僕自身は好まないのですが、この前の個展で今迄のものを出してしまった事が新しいスタートともなったわけです。更に9月19日の手紙には、ポップアート以降の美術の動向はますます人間性を排除する方向にむかっているようです。僕自身が今は大変混乱していて、混乱のまゝで仕事をしているわけです、と。明らかに近藤はこの街の美術動向と自らの作品の関係で苦しんでいる。このような状況を克服すべく強い意志で、日記を書くように日々小さな作品を作りそれらを紡いでいたのであろうか。後日彼は記す、ポップアートやイリージョンの仕事に大変な関心を持っていながら、そのギリギリのところで明らかにその本質と違う自分を感じるわけである。自分をいくらふるいに掛けてもその後に残るもの、そんなものがたとえつまらないものでも私はやはりそれを否定するわけにはいかない。