作品
Artistic Periods
帰国後
2001年-2010年
2001年に帰国した近藤は、前年の心友の死を悼み、1970年に制作したThree Diagonal Stripes: Green を正方形のカンバスに復活させた。「馬場彬へのオマージュ」である。2002年には練馬区立美術館が「近藤竜男ニューヨーク⇔東京1955~2001」を開催。1950年初頭から、渡米、帰国迄の作品を網羅、充実した回顧展であった。2010年1月、ギャルリー東京ユマニテは新作による近藤竜男展を開く。新作群は一見Ellipseシリーズと感じるが、しかし楕円のオブジェは輪郭線で表現され質量も持たず、Ellipseシリーズとは異なり空中を自由に浮遊し形を柔らかく変えてゆく。もし、このオブジェ達を楽器から出た音の形象と見るなら、描いていた近藤の耳には、1967年11月9日の小澤指揮による武満の、ノヴェンバーステップスがよみがえっていたのであろうか。「見る音楽」の新作、Blue Painting:J-09 と Gray Painting:J-09 は、近藤作品の至上の理解者であり、同世代であり、56歳で没したフライ氏への追億の絵であるようにも思われる。