May 29. 1973.
1973.5.29
山崎省三様
一昨夜は川島さんの結婚披露の会で、ニューヨークの日本人作家が一堂に会した感じで賑やかでした。昨日は一日中二日酔。京都近美の「アメリカの日本作家」展もきまり、何んだか少々疲れました。
「アメリカの日本作家」展は、あれから 二点、あまり大きくないものを作り 同傾向の作品で美術館に入ると思われるサイズのものだけで もう一度、小倉さんが出発される前日に見ていたゞきました。
前にいらした時は、色々な試みを同時にお見せした事から、転換期であると言ふ印象を強く受けられたようですが、今度の作品で 一応安心されたようです。僕が日本へ歸る事、南の個展の期日との関係を最後まで気にされていましたが結局3点出品する事にきまりました。
ジャパン ハウス ギャラリーへは、今週中に行って来ます。
グッゲンハイムのデュビッフェの回顧展は、僕には、実につまらなく感じられました。ニューヨークでデュビッフェを扱っているペース ギャラリーと言ふ画廊は、サマラス、ネーベルソン、トローバー、ヤンガーマンなどが所属していますが、非常にパワーがあり、所属作家の多くがミユジアムで回顧展を開きます。しかし、コマーシャリズムをも強く感じさせるギャラリーで デュビッフェの強引な押出しぶりも、なにか いやらしい感じすら受けるのです。ミユジアム オブ モダンアートの大回顧展、グッゲンハイムでの62-66年度の作品展、今度のグッゲンハイムの大回顧展と、こんなに大掛りな展覧会を立続けにミユジアムで開く人は、アメリカの作家でも見られない事で、そのわりに作品はおそまつです。
ニューヨークは毎日雨ばかり、まるで日本の梅雨のようです。長雨と言ふような事は、まず見られなかったニューヨークも、こゝ数年、天候まで狂っているようです。
では又 お手紙いたします。
近藤竜男
追伸、斉藤さんへの大変遅れて、昨日、お手紙いたしました。恐れ入りますが お詫び申し上げて下さいませ。