Nov 21 1971

1971.11.21

山崎省三様
 お手紙有難うございました。
 今日 ニューマン展とジョーンズの新作の原稿お送りいたします。ミユジアムの問題、ホイットニーは Two Hundred Years of North American Indian Art展。12月9日から1月9日までラファエル フェラの彫刻がロビーに展示される以外は、ほとんどコンテンポラリーのきわだった作品発表はなく、なんだか民芸館か、民族館?にでもなったような感じです、ちょっと大げさですが。
 グッゲンハイムのモンドリアンと近美のニューマン展は どちらも大変充実した展覧会ですので けちのつけようもありませんが、これらの展覧会は最高の安全株と言った事なのでしょう。
 グッゲンハイムにおける10 Young Artists展、おそまつぶりがモンドリアン展と対象的でした。
 ハンス ハッケは西独のクレフェルト(Krefeld)のMuseum Haus Lange(ハウスランゲ美術館)で回顧展をやるそうです。じみではあるけれども、もっとも前向きで充実した内容の企画を組むミユジアムだそうです。
 インフォメーション展へ出品した例の作品と、グッゲンハイムへ出品するはずであったビルの写眞(このような写真を多数展示するはずであった)、(裏がわにディテールが書いてあります)、をお送りします。彼は今、ビルの作品を、これらを、グラフにしています。
 これらのビルの賣買された会社と サインをおこなった人々、賣られたビルのお金の受取人、と言ったものを手繰って行くと、ごく少数の人々によって、巧妙に廻されている事がグラフに出て来ます。(税金のがれのために内輪の中で賣買をおこなう)、このビルの写眞の裏にタイプされたものを良く見ると、その事が伺へます。
 先週、峯村敏明さんと一緒に彼のところへ行ったのですが、実際 うっかりすると殺されるかも知れないような仕事だなと言った印象を受けました。
 クリストはちょっとこの前書いた事と違いますし、僕自身ちょっと、興味を失ってしまいましたので、のせないで下さい。パンアメのビルの高さと言ふのは間違いで、(昨年のプロジェクトの段階ではそう言っていましたが)、ロープが自身の重さでたれるし、もっと、ずっと低いものです。あの原稿を書いた数日後、失敗に終り、先週会った時(奥さんに)は、1972年の6月に再びおこなうための許可手續をしているところでした。彼の仕事は、いつも一度失敗があり、それがちょっとしたドラマとなって、写眞でも 一番面白い部分をしめる事になります。今度も又失敗ときゝ、その写眞を見せてもらっていて、なんだか、話がうまく出来すぎているようにも思いました。しかし、これは僕がふと、そう思ったゞけの事ですから、——
 クリストのバリーカーテンは現在、中途半端な状態で、彼もバリーカーテンに関する発表は、来年まで中止していると言っています。
 レコードの件、今日、お手紙いたゞき買って来ました。明日発送いたします。
 では又、お手紙いたします、近美の三木多門さんが今、ニューヨークへ見えています。
近藤

手紙, Nov 21 1971, 1971.11.21手紙, Nov 21 1971, 1971.11.21手紙, Nov 21 1971, 1971.11.21手紙, Nov 21 1971, 1971.11.21
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