7月22日(1969年)
1969.7.22
ノーマン、などの名も見られ、國際的な新たな動向を知る上でも興味ある展覧会である。
山崎省三様
あいかわらず原稿おそくなり申訳ありません。
ミユジアム モダンアートは、ロックフェラーのコレクションと、アクションペインティングの展覧会で、まるで僕がニューヨークへ来た頃のような感じがします。しかし、同じ作品が時がたつと、その時々で違った意味をもって見える事は、興味ある事です。一時 ポロックは、意外につまらないのではないか、と思っていましたが、やはり、ジョーンズ ポロックの少なくとも一時期の作品は、現代美術の発展の上に、一本線を引く立場を持っているように思へます。今度のアンティ イリュージョン展などを良く見ても、いったい ポロックからどれだけ はみ出せたのかと言ふ事は、疑問のように思います。
この前 美術手帖から、いきなり、アンティ イリュージョン展の取材をたのまれびっくりしました。たぶん藤枝さんの紹介でしょう。(その前にアラン サレットと言ふアンティフォームの彫刻家の写眞をたのまれた事がありましたが)
写眞はどうにか取りましたが、文書の方は、もっとも新しい動向である上に、〆切まぎわで調べるほどに具合が悪くなり、書く程に八方破れ。使ってもらえるか、どうかわかりませんが、もし出ましたら読んで下さい。絵かきが、あゝいうもの、書いて良いのかどうかと、少々疑問に思っています。でも、あの展覧会を注意深く見る事で、僕が今まで、一つのパターンとしてきめてしまっていたアメリカ現代美術の様相が 実は少々違うのではないかと気付いた点も多々ありましたが、それを、ちゃんと整理するには、あまりに時間がありませんでした。
こゝのところ、ニューヨークは、雨ばかり降ります。月へロケットが飛んでも、どうも横着でテレビを見るのがおっくうになってしまい 月を歩いている所だけ見ましたが すっかり驚きました。あまりに時代が早く、つっぱしるので、まともに付合っていては息切れがします。
では又、お手紙いたします。暑さの折くれぐれもお体を大切にして下さい。
近藤竜男
アルプの回顧展を見そこなってしまい、原稿お送り出来ませんでした。