2月28日(1964年)
1964.2.28
山崎省三様
前略
グッゲンハイム美術館で例の國際賞の展覧会が始まっています。写眞を取りましたので同封いたします。今、内容についてくわしくわかりませんが、この展覧会は日本へもかなりくわしく内容が傳へられている事と思いますので、今僕のわかっている事だけ書きます故、よろしく御願いいたします。
会期は、1月の16日より3月の29日まで82点の作品。
(GUGGENHEIM INTERNATIONAL AWARD)受賞作家は、
ALBERTO GIACOMETTI (グランプリ)
VICTOR DE VASARELY
WIFREDO LAM
ROBERT MOTHERWELL
ANTONI TAPIES
だと思います。(もう一度しらべて下さい)
この展覧会の作品選考は、今までと変り、今年は、グッゲンハイム ミユージアムのキューレター、アローエの選考ですね? そのへんの事、ちょっとくわしくしらべるひまが無く申訳ありません。
受賞作品の選考は、(Juryの名前は)
Dr. Werner Haftmann
Hans Hofmann
Dr. Arnold RÜDLINGER
写眞は、カラーと白黒、御送りいたします。
岡田謙三の個展が1月の7日から2月の1日までベティ パーソンで開かれました。大作を並べていました。あまり良い写眞も取れませんでしたので、御送りしませんでしたが、ついでに同封いたします。
僕の個展は、明日で終ります。くわしい事はこの次に書きます。写眞と、今までに出た評などを同封いたします故御覧下さいませ。僕の考へている事とは、だいぶトンチンカンな評ですが、・・・ 昨夜は、Art Voises in the Airと言ふ美術の放送番組で僕の個展の事を放送してくれました。
ジュシ ミユジアムでジャスパー ジョーンズの大展覧会をやっていますが、ポロックの時と同じく写眞がとれません。ジョーンズの初期の作品から近作までを系統だてゝ見る事が出来、ローシェンバーグの時と同じく、大変面白い展覧会です。初期のマトの作品と、星条旗の作品は良いです。かつて、あんなにショッキングだった作品が、今、ニューヨークで見ると、アカデミックと言っても良いほどのものを感じます。
個展をやると、いつもの事ながらなんとなく、ガッカリしてしまいます。こちらは会期が3週間ありますので、日本での個展のようにせわしい事はありませんが、自分をサラシテ3週間もたつと、何もしなくてもいさゝかくたびれます。
では又、ゆっくり御手紙します。