7月27日(1967年)
1967.7.27
山崎省三様
こゝのところ馬鹿に暑い日が續きます。重要な手續は大方順調に進み、来月の10日頃にはニューヨークを出発出来そうです。
途中、カルフォルニアでしばらく過す予定ですので、日本着は20日過ぎとなります。タダスキーさんはニューヨークの整理が間に合わづ、僕が一足先に出発する事になりそうです。
さて、また東京での個展の話で大変恐縮なのですが、先日、石川勇さんの奥さんがこちらに来られ、その折、サトウ画廊より(僕の歸國に際し もし他の画廊での個展を予定していないのなら、1月最初に毎年開く画廊企画展として、個展をやってもらえるかどうか、返事がほしい)との事です。サトウには歸國の事もまだ連絡していないので少々驚きましたが、スケジュールの関係上、大変返事を急いでいるとの事なので一応OKにしておきました。サトウは、東京でづっと発表して来た場所だし 画廊企画と言ふ形ちなら良いのではないかと思いました。たゞ会期がニューヨークへ歸ってしまった後になるのが残念ですが。
このサトウ画廊の話、正直に言って OKした事が客觀的に見て良いのでしょうか? 何分、日本の画廊関係、人間関係がほとんどわからなくなっていますので。あまり感心しない事情などがありましたら お知らせいたゞけませんか? もし、この展覧会をするとなると、日本でのスケジュールがかなり忙がしくなります。
近代美術館のThe 1960s: Painting and Sculpture from the Museum Collectionsの原稿同封いたします。日本人からは、中西、三木、川島の三人が出品しています。いづれも、日本現代美術展よりのコレクションです。
今度 近代美術館のスタッフが大幅に変更になり、これから先、このスタッフ変更がいろいろな結果となって現われて来る事と思います。バワーが引退した事から、ドロスィー ミラーの勢力も弱くなるのではないかとも推察されます。おそらく、この展覧会がその句切となるためのものと思われます。
他のミユジアムもこの展覧会に似たような企画の(1960年代の・・展)展覧会をやっており、なんらかの意味で、アメリカ現代美術の清算期に入っているようにも思われます。先シーズンのギャラリーの不景気はかなり深刻なものらしく レオ キャステリーもいよいよ賣りに出されると言ふ事は、しばしば聞かれる噂です。
斉藤さんのレコード、持って歸りたいのですが、少々荷物が多くなるようなので、お送りいたします。
[ 判読不能 ]
から伺い知る事が出来る。日本人作家より、当美術館の現代日本美術展に出品した川島、三木、中西らの作品が展示されている。
フィルムの現像の時なにかが入ってしまったらしく、よごれています。どうもすみません。
近藤竜男