May 3. 1967.

1967.5.3

山崎省三様
 先日お送りいたしました原稿あれでよろしいでしょうか。どうも長くなってしまい申訳ありません。
 僕の想像では、実際には、途中で一度崩壊状態になったのではないかと思います。しかし、アブラム氏が中止の発表をしなければ 事実上は中止と言ふ事にはならないわけで、現在の時点では、ほとんど具体的な活動はしていないようにも考へられます。しかし、彼らがやると言ふ以上、いつかはやるつもりなのでしょう。そのためにも 一度中絶したと言ふ事は言いたくないのだろうと思います。なお フライ氏については、彼にその選考権はないそうで、作家の選考はあくまでコミッティーのメンバーによっておこなわれるとの事です(フォク氏談)。しかし、フライからの直接の言葉が聞けませんでしたので 大切な点でもあり 一方的になってもと思い原稿には書きませんでした。
 タダスキー氏は、大張切で重いカメラを4台ぶらさげて旅立ったわけですが、会場が会期に間に合わない事と、27日のプレスプレビューを控えて会場は蜂の巣をつっついたような忙しさで 思ふようにゆかなかったようです。アートギャラリーはやはり工事の最中で その作品もほんの一部しか見る事が出来なかったそうです。
 はじめての事で文章がうまく書けないと言っていましたが、出来るだけ自分でやりたいとの事なので 僕はあまり関与しませんでした。カタログに、作品についてはかなりくわしく出ていますし、日曜版のニューヨークタイムスにアメリカ館などについての紹介も出ていましたので、彼が同封したと思います。それらを合せて、適当になおして下さいとの事です。一週間を費やして一生懸命やっていました事故 よろしくお願いいたします。
 先日、電話で ちょっとお話ししましたが 今年の秋に一度日本へ歸ろうと思っています。ビザやら、色々の関係で2ヶ月ぐらいしか日本にいられないと思います。タダスキーさん夫妻と一緒にメキシコからロスまで自動車で行き、そこから一緒に飛行機で歸るつもりです。
 出来る事なら展覧会をやりたいのですが、日本を留守にして月日が立ちすぎて画廊の傾向や条件等も良くわかりませんし、何分在日期間が短かいので 日本へ行ってからでは会場もとても取れないと思います。お忙しいところを大変恐れ入りますが、どこか会場を聞いていたゞけませんでしょうか。会場費は拂ってもかまいません。—— あっちやこっちやへスライドと手紙を出してしまふのも かえって具合が悪いのではないかと思いますし。・・・
 僕の作品を見ている人は 東京画廊の3人と、中原さん、それに東野さん、近代美術館の本間さんに冨山さん、等、日本橋の小島さんは、4年程前の作品しか知りません。しかし、東京画廊や南は、今すぐと言ってもちょっと無理だろうと思います。(もし出来ればそれに越した事はありませんが)
 日本橋はニューヨークで個展をやった関係などで、たのんで見れば出来ない事もないのではないかと思いますが、ごく近作でやりたいため(これらの作品はまだ、だれにも見せていません)、小島氏のこのみとは合わないのではないかと思います。
 いづれにしても廣い会場程良いのですが、最近 日本から来た高山尚さんの話では、僕の作品なら、東京、南、日本橋をのぞくと秋山画廊が良いのではないかとの事です。こゝは彫刻の画廊だそうですが 現在僕の作品は 彫刻と、キャンバスにオブジェがぶらさがっているもの、の二種が一番新しいものです。写眞を同封いたしますが、数日後にもう一度、スライドをお送りいたします。その他の画廊が、どんな事になっているか良くわからないのですが、他の画廊で良いところがありましたら、どこでも良いですからよろしくお願いいたします。
 たゞ、あまり中途半端な展覧会になるのなら、しない方が良いかとも思います。それとも 馬場にでもたのんで サトウをあけてもらってやったらとも思いますが、高山さんなどは、会場が小さすぎるだろうと言います。いづれにしても、どこの画廊ももう今年のスケジュールは出来てしまっていると思いますので、大変無理なお願いだと思います。或いは良い画廊が取れるような事があれば、在日日数をのばすなり歸國時期を変更する事も考へています。
 作品のオブジェは全部こちらで作って持って行きますので、キャンバスの彩色と、オブジェをつる事だけを東京のアトリエでやれば良いわけで、半月もあれば出来ると思います。会場が取れゝば それに合わせてスケジュールを組もうと思っております。僕の作品に興味を示してくれる画廊がもしありましたら 恐れ入りますがご連絡下さいませんか。僕からも画廊の方へ連絡とって見ます。
 マーサー ジャクソンが僕の作品を大変気に入ってくれ、この6月にやる新人作家のグループショーに3点出品出来る事になりました。大変嬉しい事ですが、それは2年程前の作品で、 いまさら又、それの大量生産するのも気が乗らづ困った事です。日本から歸ってから、新しい仕事をまとめて見せて見ようかとも思っています。
 もし、マーサー ジャクソン ギャラリーで個展でも出来る事になれば それは良い事ですが、画廊の好みにこちらが全面的にあわすと言ふのはいやです。それなら、もう少し、すきな事をやっていようなどと思っています。これは東京画廊や日本橋画廊でも同じ事が言えるのでしょう。東京画廊の山本さんが好きだと言っていた作品は、マーサーが今度選んだ作品と同じ系列のもので 山崎さんがニューヨークへいらした頃の作品とほゞ同じものです。同封の写眞は うらに説明を書きましたが、彫刻は木に彩色したもの、キャンバスをつなげてある作品は 山崎さんがいらした頃から始めたもので今も續けているもの(これは出品出来ません)、キャンバスにオブジェがつってある作品は、キャンバスより 1センチぐらい手前に細い釣糸(ナイロン)でつってあり、上下どこえでも自由に動きますが、僕としては、一応位置はきめています。僕の希望は、この近作に彫刻をいくらか入れてやって見たいと思っています。
 日本へは9月頃から11月まで歸る事になると思います。歸るとなれば何かと忙がしい事です。後4ヶ月で日本かと思ふと、6年ぶりなので少々不安なような気持にもなって来ます。
 ではお願いの件 おそれ入りますが、よろしくお願いいたします。お会するのを楽しみにしております。
近藤竜男
スライド(旧作)はこの次にまとめてお送りする事にします。

手紙, May 3. 1967., 1967.5.3手紙, May 3. 1967., 1967.5.3手紙, May 3. 1967., 1967.5.3手紙, May 3. 1967., 1967.5.3
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