7月20日(1964年)

1964.7.20

山崎省三様
 御手紙有難うございました。レコード代、原稿料の御送金、たしかに受取りました故東京より手紙がありました。有難うございました。
 カンヂンスキーの分はどうも良いものが書けなかったのに、申訳ありません。カンヂンスキーに関しては正直に言って、どうも書きたくありませんでしたので、ほっとしました。色々と御考慮下さり心から感謝いたしております。
 ゴッホに関する件 なかなかむつかしいですが、なにか書けそうな気がします。結局はづいぶん大きな問題になってしまふのではないかと思ふのですが、自分でもまだ、文章にするほど整理されていないし、僕はゴッホについてはさほどくわしくは知りません。ゴッホに感激したと言っても手放しでまいったわけではなく、現代美術とのかかわりあいにおいて——、現在のニューヨークと言ふ地点でなお意外に新鮮で強烈だった、と言ふ事に驚いたわけです。
 その点で山崎さんのおっしゃるように ゴッホ展を一つの起点として見たニューヨーク画壇と言ふような見かたで書いたら面白いものが出来るかも知れないと思います。ゴッホ展はその後、タイトルを忘れましたが「ゴッホと印象派」とか言ふ新しい展覧会の形ちでサンマーシーズンの後半も續けられます。
 そこでまったく無理な御願いで申訳ないのですが、もう一ヶ月時間をいただけませんか? 実は今月は、勝手な話ですが、バケーションで一昨日までニューヨークを離れていました。又、今週か来週には二川幸雄君(カメラマン)がヨーロッパから来る事になっており、どうもちょっと今月中には間に合わないような気がします。自分の勝手で誠に申訳ありませんが、お願い出来ますでしょうか?
 今、気が附いたのですが、ホイットニー ミユジアムでミユジアムのコレクションによるアメリカ現代美術展をやっているはづです。見ないとわかりませんが、それと、ゴッホ展を対比させると面白いかも知れません。では出来るだけ早く書くよう努力いたします。
近藤竜男

手紙, 7月20日(1964年), 1964.7.20手紙, 7月20日(1964年), 1964.7.20
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